Interview

Interview

  1. HOME
  2. インタビュー
  3. 求められた時に、学び極めた最高のものを 最適な形で提供したい

知識 茂雄 さん

求められた時に、学び極めた最高のものを 最適な形で提供したい

一般の方はもとより、いまや多くのストレングスコーチがその知識とスキルを頼りにしているとも言える知識さんだが、それを目指してきたわけでもなく、その時その時に求められること、できることをやっていたらこうなったという。実は会社員時代には他者からのフィードバックを素直に受け取れなかったり、部下との関係性に悩んでいたという知識さんに、これまでの変遷を語ってもらった。
エンジニアだった知識さんが、そもそもコーチになったきっかけは何だったのでしょうか?
最初の入り口は、会社の風土改革プロジェクトに応募したことですね。私がいた職場は、ある大手電機メーカーの分社化された会社の一つで、代々、社長は本社からの天下りだったんです。それが2006年頃に初めてプロパーの社長が誕生して、風土改革プロジェクトを始めることになり、プロジェクトメンバーの募集があったのです。当時、私自身もマネージャーになって2年ほど経っていたのですが、どう部下と接したらいいのかなどがわからず煮詰まっていた時期で、自分を変えたくて応募しました。そのとき応募した7人で考えたのが、社内の風通しを良くして、下の人が上の人に物申せるように、「アサーション」の社内研修をすることでした。当時の社員数は合併等もあり4000人以上。みんなに外の研修を受けに行ってもらう余裕はありませんから、その7人がトレーニングを受けて社内講師になりました。私も退職するまでの6年ほどの間に、エンジニアをやりつつ、300人以上の社員にアサーションを伝えていきました。
その後、ファシリテーションにも興味を持ち学んだのですが、その時にお世話になったコーチが熊本に日本コーチ協会の支部を立ち上げると言うのでお手伝いすることにしたんです。それで私自身もコーチングを学ぶことにし、コーチ21(現コーチ・エィ)のCTPというコースを受講しました。コーチのコミュニティというのがとても心地よかったのと、私自身も会社以外のコミュニティを持ちたい、自分が変わりたいという思いが強くなっていったのですね。2008年に認定コーチの資格を取り、熊本の支部長も6年ほどやりました。
コーチングを学んで、何か変わりましたか?
コーチングを学んでいる時期とちょうど同時期に、自動車メーカーとの共同プロジェクトの担当になったんですが、学びをそのまま活かすことで、メーカーの信頼を得てプロジェクトは成功し、その後も続くようになったりしました。でも、いちばんの変化は、部下との関係性ですね。
 以前は自分の扱い方がよくわからず「”自分が”優秀であること」「”自分が”成果を出すこと」を考えていて、他の人とぶつかることがあったんです。直接の部下の一人とは、傾向性も似ていた分、いったん噛み合わなくなると延々と噛み合わない、というような関係性でした。フィードバックを受け取ることも苦手だったので、もらうときには無記名で書いてもらっていたんです。「時々、説教モードになるのが不快です」とか書かれまして、次のミーティングで「ごめんなさい」と謝ったりしてました(苦笑)。
でも、コーチングを学んで相手の言うことを聞いていけるようになると、「人はそれぞれ、いろいろ考えているんだ。自分の正しさが全てじゃない」と思えるようになりました。そうすると、話が平行線をたどることもなくなりましたね。フィードバックも直接言ってもらって、受け取れるようになりました。部下も「この人は何でも話して大丈夫なんだ」と思うようになったようで、子育ての悩みなども話してくれるようになりました。異動前の面談で「知識さん、変わりましたよね」と言われたときは、嬉しかったですね。
職場の改革もご自身の改革も進んだのに、なぜ、退職されたんですか?
実際に辞める1年半くらい前に技術職から全社的な教育を担当する部署に異動になったんです。それって、自分が積み上げてきたキャリアが切れてしまうことになるんですが、「教育面で何かできるかもしれない」などと自分を納得させつつ異動しました。それでも、会社の状況はもうぐちゃぐちゃで、社員がどんどん早期退職しているようなときでしたから、そもそも教育に時間や予算を割く余裕なんてないんですよ。そんな中で自分の存在意義を感じられなくなっていきました。決定的だったのは、あるとき移動先の担当役員から「君が異動してきたのは意外だった」と言われたことでした。その言葉で、「ああ、自分がここに来たのは、求められたからじゃないんだな」とハッキリ悟り、会社から完全に気持ちが離れ、退職を決めました。辞める際には、それまでお世話になった方々、面倒を見てきた部下と離れる寂しさはもちろんありましたが、会社自体には未練とかは全くなかったですね。いつも、自分が離れたコミュニティなどには固執しないんですよ。気持ちは次に行ってるんですね。
今思えば、この退職の経緯には自分の「自我」という資質が大きく関わっていたと思います。自分が誰かの役に立てている実感がないと、自分の存在が誰からも認めてもらえていないような気持ちになってしまうのです。一方「適応性」という資質のせいか、そうなってしまったことは仕方ないと思うし、過去に固執することはありません。
そのとき、コーチとして独立しようと考えたのですか?
いや、辞めるときは、辞めることしか考えていませんでしたね。そんなとき、たまたまコーチングの勉強会で久しぶりにお会いした森川里美コーチから「ギャラップのストレングスファインダーのコーチ養成コースに行かない?」と誘われたんです。
そのとき、学ぶことが好きで、どうせなら最高の環境や条件で学びたいと思う自分の「学習欲」と「最上志向」という傾向性が動いたんですね。ほとんど無意識に「行きます」と即答していました。それで、2013年にオマハに行きました。そのときも、当初はストレングスコーチを目指そうは思ってなかったんですよ。初めてストレングスファインダーを受けたのは2010年でしたが、その当時は大きな変化はありませんでしたし。それが、変わったのは、オマハに行く途中でした。国際線から国内線に乗り換えるヒューストンで、グループのうちの4人だけが次の飛行機に乗れない事態が起きたんです。私は、もう仕方ないなと思って、その晩泊まるホテルを予約したり、無意識に次の行動をとっていたんですが、そのことを他の人たちからすごく驚かれたんです。そこで初めて自分の行動が普通じゃないんだ、これが強みということなんだと気づかされたんです。起こったことに慌てずに即座に対応していくという私の中の「適応性」という傾向性が使われてたんですね。オマハのコースでは、ストレングスファインダーが真に使える道具だという確信も持ち、そこからストレングスファインダーを通して改めてしっかりと自分に向き合うようになりました。
ストレングスファインダーを使うようになって、ご自身では何が変わりましたか?
まず、自分が自分の資質を残念な方向にばかり使っていることに気づきました。たとえば、「責任感」で自分なりの正しさの基準を持っていて、それに照らして「間違っている」と思うと他者の言動にいつもイライラしていました。そのくせ「調和性」で人との間に波風を立てたくないので、表には出さないようにして内面にストレスを溜めてしまう。そして時折それが爆発して相手に怒りをぶつけてしまう、というような傾向があり、自分もしんどかったし、周囲からは「どこに地雷が埋まっているかわからない」と言われ、迷惑をかけていたと思います。
それで、それを緩めるように意識しました。同時に、人に合わせようとしていたところを、あえて自分の意見を言ってみる、というようにしました。たとえば、だれかと食事をする時に、それまでは相手に合わせていたのをやめて、あえて自分が何を食べたいか自分に聞いて「選択する」ようにしたんです。そうしたら「自分を優先してもゆるされるんだ」ということに気づけたんです。以前は、そんなことをすると否定されるんじゃないか、というような怖れがあったんですね。でも、そんなことは実際には起こらないとわかってきた。「ああ、いいんだ」と思うようになると、自己肯定感が上がってきましたね。
 ただ、未だに「自我」の手綱さばきには課題があって、自分のやったことが思うように認められないと心の中で拗ねてしまったり、他者の成功を素直に祝福できなかったり、ということがありまして、この辺りが自己肯定感が上がりきれないところかなあ、と思います。
どんな方がクライアントで、どんなふうに変わっていかれるのでしょうか?
目標や課題が明確な方と、そうでない方の両方がいらっしゃいます。目的や目標があって、そのために資質を活かしたいと思って来られる方は、行動をするので、やはり成果は目に見えやすいです。たとえば、20代のあるクライアントさんは、3ヶ月セッションを受けられましたが、1年後には起業されました。また、起業を見据えて現在、準備中という方もいます。
一方、明確なものがない方の傾向としては、例えば「慎重さ」をお持ちで思うように動けないとか、人間関係に悩んでいるとか、いまの自分を肯定できず自己肯定感を上げたいといったモヤモヤした思いをお持ちの場合が多いですね。こういう方も、3ヶ月のコースを終えられる時には、自分自身を「これでいいんだ」と思えるようになって安心感が持てるようです。これまでは自分で短所だと思っていたこともそうではなかったと理解できて、今の自分を受け入れられるようになるんだと思います。
知識さんの提供されているものの特徴はなんでしょうか?
主に二つあります。一つはその人の良さを純粋に伝えていけることです。「最上志向」と「自我」で、その人の素晴らしさが自然とわかるんですが、それを伝えていくと、相手の方は自己理解が進むだけでなく「自分てこんなにすばらしかったんだ」と思えるようです。それで、自己肯定感が上がるんだと思います。
もう一つは、資質の活かし方をピンポイントでお伝えできることだと思います。それで、自分がどう動けばいいのか、成果を上げられるのかがわかっていただけるようです。それらを、ライブでやっていますね。「調和性」で場の空気や相手との距離感を感じ取り、「適応性」と「最上志向」と「アレンジ」で、その時・その場・その人にとって最適でベストなものを出していく、というのを無意識に行っています。もともと「分析思考」も高く、物事を分析的に見る傾向もあるので、こういう時にはこうという判断もそれに加わっていますね。
これまでの経歴から、個人向けにも企業向けにも対応できますし、1:1も1:多のサービスも行っています。必要に応じて、コーチングとストレングス、アサーションを使って、コーチングもコンサルティングも自然に行っていると思います。ITのエンジニアでもありましたからZoomなどの新しいツールも違和感なく活用できているところも役立っていますね。
良いものを出していくには引き出しをたくさん持つ必要がありますが、「最上志向」と「学習欲」で学びを極めていくこと自体が自分のデフォルトなので、それはもう止めようにも止められないし、そうすることが喜びなんです。結果として、瞬時に自分の持てるベストのものを出していく、ということをしているんだと思います。
今後はどんな展望をお持ちですか?
私の場合は、「ここで決めた!」みたいな瞬間というのがないんです。後から振り返れば、あれがあったからこうなったかな、というのはありますが、別にそこに意味づけもしないです。流れてきたものには基本、全部に対処し、去っていったものについては追いません。今提供しているサービスも、その時その時でこんなことができるといいなとたまたま思いついたものをとりあえずやってみた感じです。そうやってやれることをやっているうちに、結果として残ったものが今あるものなんです。
だから、この先も、ストレングスコーチは続けていきますが、ずっとこれに固執してこれだけをやっていくとか、これじゃなきゃとか、ストレングスで社会を良くしようという強い信念がある、というわけでもないんです。ここに行くためにこうしようと考えてやるのではなく、今考えられることをより質の高いものにして提供していくというやり方なんです。だから、何か求められた方が動きやすいですね。今、関わっているチームでの仕事が幾つかありますが、チームのメンバーがこうしようと言えばその方向で、またベストなものを出せるように動く、そのために常に学び極めることを止めないということでしょうか。ただ、そこにイメージしているのは、自分が活躍できる場が広がって喜んでいる人の笑顔がいっぱいあることですね。
多くの方に、ストレングスファインダーをどのように活用してほしいと思いますか?
「自己を肯定的に見るためのツール」として使ってほしいですね。人を見ていくツールは他にもたくさんあります。でも、資質の組み合わせやその割合などを考えると、これほど唯一無二のその人を表すことができるツールは他にないと思います。だから、ストレングスファインダーの結果には、自分そのものが表れていると思っています。そして自分の持つ特徴には、ポジティブな面もネガティブな面も両法あるということを知り、どちらの自分で生きることも選択できることを知ってほしいです。
ストレングスファインダーは、自己基盤を整えるための入り口でもあります。自分の価値観や思考が暴れるときはどういうときか、自分がなぜそういう思考・感情・行動のパターンを身につけてきたのか、それを考えるための入り口にもなります。 
自分の才能って当たり前すぎて自分では気づきにくいんです。そこに気づくことで自覚的・意識的に使えるようになって、才能を活かせるようになってきます。そうするとそこに加速度がつき、自己理解が進み、そうなると他者理解も進みます。多様性を受け入れやすくなるんです。そうすると、生きやすくなってきます。自分の正しさへのこだわりが弱まるんですね。正しさというのは、人の数だけありますから。この多様性をわかりやすく見せてくれるのが、ストレングスファインダーだと思っています。
知識茂雄
インタビューを受けた方
知識茂雄
プロフィールの詳細は追加予定です。