Interview

Interview

  1. HOME
  2. インタビュー
  3. “人間”の本質を知り、それを表現したくて、 探求が止まらない

佐々木 ちひろ さん

“人間”の本質を知り、それを表現したくて、 探求が止まらない

佐々木さんの持つ資格をあげれば、それだけでこのスペースが終わってしまうだろう。医師でありながら、ストレングコーチ&NLPコーチであり、ポジティブ心理学やマインドフルネス、レジリエンス、さらには睡眠などの資格を持つが、これも氷山の一角だ。医学の前には、別の大学で心理学を修めている。佐々木さんの話を聞いていると、「学習欲」とはこの人のためにある言葉だと痛感する。
そんな“The Learner”の佐々木さんが、その探究心を傾けて解き明かしたいものは「人間の本質」だという。「どうして同じ環境にあっても人の考えや振る舞いには違いが出るのか?」そんな疑問への解を求めて、気づけば書籍やセミナー申し込みをネットでポチりまくっているという。
佐々木さんに、まだまだ続く探求のことや、それらを生かして実現したいことなどを伺った。
医師になるまでのことを教えてください。
子どもの頃から勉強は好きでした。ただ、要領よくやるというのではなくて、1から順番にやらないと気が済まないたちでした。そして一通りやると他のことがやりたくなる。それを繰り返してきましたね。また、とにかく本が好きでした。図書委員になって放課後を図書館で過ごすのは至福の時間でしたし、父に「本屋でもやる気か」と言われるくらい本を買ったり借りたりしていました。ずっと人間には興味がありましたが、中学の卒業式のときにクラスメイトから『アルジャーノンに花束を』という本をもらったのがきっかけで、心理学に興味を持つようになりました。
マイペースで、先生や親に勧められる学校には見向きもせず、東京のこじんまりした女子大で心理学を専攻しました。学び始めてすぐに心は身体と密接につながっているんだ、と強く思うようになったんです。大学1年の夏頃には医学を学びたいと思うようになりました。ただ、大学も心理学も面白かったので、医学部入学は卒業してからと思っていました。
大学時代は医学部入試の資金を貯めるためにバイトに明け暮れ、4年生になると予備校にも通い始めました。そのうち卒論と入試勉強との両立が難しくなってきて、卒論に集中することにしました。結局1浪して、札幌のこれまたこじんまりした医大に行きました。そうやって入った医学部でしたが、正直、つまらないと感じていました。前の大学が楽しすぎたのもありますが。卒業しないことには国家試験の受験資格が得られないので、とにかく卒業することだけを考えていました。
その後、現在の会社を立ち上げるまでの道のりはどういうものでしたか?
医師になってから2年間の研修後、腎臓内科の医局に入りました。もともと、心身両方のサポートができる慢性疾患を診ることに興味がありました。医大の2年生の時に結婚した夫の実家が透析クリニックだったこともあり、腎臓内科に進むことにしました。
夫の実家の都合で、医局で2年仕事をしたところで、関西にある夫の実家のクリニックを継ぐことになりました。そこには当時、40数名のスタッフがいて、経営のことも知らなくてはと思い、オンラインの経営の大学に入学し、これまた1から学び始めました。
夫は専門が整形外科だったので、私が透析クリニックを継いでからしばらくして同じ法人内に整形の外来を開業しました。ところが、経営について彼との衝突が絶えなくなり、そのうちに会話もほとんどなくなりました。「これから先の将来」を考えたときに、全く楽しい未来が思い描けず、離婚を決意しました。ちょうど上の子が小学校1年、下の子が2歳の時でした。
それから東京に戻り、経営の大学のご縁でヘルスケアのコンサルティング会社で仕事をすることになりました。訪問診療をしながら、主に自治体関連のコンサルティング業務をしていました。そこの会社で他部署のお手伝いをすることになり、そんな中で産業保健という分野を知りました。健康診断の結果が悪い人に早期に介入して悪化させない、あるいは病気と付き合いながら仕事を続けるサポートをするという仕事に魅力を感じ、その年に「産業医」の資格を取って、翌年には産業医に転向しました。現在、様々な企業を担当させていただいていますが、会社ごとに学ぶことも多いですし、心理学・医学・経営学などこれまで学んできたことや経営者・会社員の経験を活かせていると思います。産業医先の要望や、こちらからの提案などで睡眠やメンタルヘルス、ストレングスファインダーの研修を開催するようになり、そのうち産業医先以外でのセミナー開催や、個人の方を対象としたコーチングやカウンセリングの依頼も増えてきたため、そうした事業を提供する会社を創りました。
ストレングスファインダーやその他のたくさんの資格をお持ちですが、どういう経緯で学ばれたのですか?
ストレングスファインダーとの出会いは、友人がFacebookでシェアしていたのを見たことです。面白そうだと思い、早速自分でもやってみて、結果に「そうそう、その通り!」と納得しました。でも「じゃあ、これをどう活かすの!?」と思ったのです。これはどのように作られて、どうやって活用していくのか、単純にそれが知りたくなりました。それで調べてみたらギャラップのコーチ養成コースがあるとわかり、すぐに申し込んだんです。初めてストレングスファインダーを受検したのが8月で、コース受講は11月でした。
その講座の内容が盛り沢山で消化不良気味だったこともあり、次にコーチングを学び、さらにストレングス・ラボでストレングスファインダーへの学びを深めるようになりました。
その他の学びも同じように、何かを知ると次に湧いてくる疑問の答えを知りたくて、学びに行ってしまうという感じです。たとえば、ストレングスファインダーを作ったドン・クリフトンさんはポジティブ心理学の祖父と言われていると知ると、ポジティブ心理学って何だろう? と思ってそれを学びに行く。NLPを学ぶ中で、使う言語の重要さを知ると他のコミュニケーションについても学びたいと思い、Nonviolent Communication(NVC)を学びに行く……という感じです。
私は「人」にも興味がありますが、「言語化」にもとても興味があります。ストレングスファインダーの場合、人の“良い面”を言語化できるところが魅力だと思います。そして、それぞれのストレングスコーチによっても、資質の説明が違うので、他のコーチのセミナーを受けに行くこともあります。
学び続けて探求しているものは何なのでしょうか?
「人間の本質を知りたい」というのが根源にある私の欲求です。「人間は何者なのか?」それを理解し、その絶対的価値を言語化していきたいのだと思います。
小さい頃から「どうして同じ環境にあっても人の考えや振る舞いには違いが出るのか?」ということに疑問を感じていました。医師になってからは、例えば病気が必ずしもその人の幸福度を規定していないと感じる機会が度々ありました。治らない病気だと告げられ、「ここで全てが終わってしまう」と悲嘆にくれる人と、「では残りの人生をどう生きていくか」と考える人がいます。病気を否認し続ける人と、人生の転機と捉える人……。その違いはどこから来るのか? そうしたことを解き明かしたい。そしてそれを言語化してまとめたい、と思っています。
これまでのところで思っているのは、自分が体験している世界は自分が創りだしているのだということです。同じ出来事でも、その捉え方は人それぞれですよね? 出来事そのものには良いも悪いもなく、その捉え方を私たちは選択できます。人間が自己を理解し、自己の価値を認め、自己を愛することができれば、その人の作り出す世界は豊かになるんじゃないかなぁと思って、探求し続けているんです。
これからやっていきたいことはどんなことでしょうか?
私の会社のVisionは“Joyful, playful and fruitful life!!”で、関わる人が喜びとワクワクに満ちた人生を歩んでいくサポートがしたいと思っています。自己理解を深め、自己の絶対的価値を受容し、自己を愛することでその人自身が自分の人生を歩んでいける、そのサポートがしたいんです。
私自身が学びの中で、こんなにも自分を理解していなかったこと、そして他人との比較の中での価値づけをしてきたことに気づきました。そしてそんな自分をそのまま愛することができなかった。
ある時、「何が楽しいか」が分からない自分に愕然としたことがあります。離婚して、自分が選択したキャリアを歩み始めたはずなのに、何だか心から楽しいと思っていない自分がいて、かといって「じゃあ、何がやりたいか」が分からなかったんですよね。仕事に全く関係のないストレングスファインダーを勢いで学んだのはその頃で、これが自己理解の一歩につながったと思います。強みもいわば自身の絶対的価値の一つだと思うんですよね。それを知ることで、自分が何にワクワクするのかの一端が見えました。強みを言語化することで、無意識的なものが意識的になりました。
それまで私は、悲しいとかイライラするといったネガティブな感情は良くないものと切り離していました。そういう感情は煩わしいだけだから、できるだけそこにとらわれないようにしようと思っているうちに、自動でそういう感情を切り離すようになっていたんです。そうしていたら、楽しいとか嬉しいというようなポジティブな感情も感じにくくなっていたんですよね。
産業医の面談業務やコーチングをする中で、私自身がそうであったように、多くの働く人は、いわゆるネガティブな感情を切り離していることに気づかされます。メンタル不調になっても、自分にとって何がストレス原因になっているのか、そもそも何を感じているかが分からない人が多くいます。「感情」は私たちに、自分の価値観がなんであるかを知らせてくれる大事なサインです。ネガティブな感情が出てきたことで、その下にある本当に自分が大事にしたかったことにつながることができます。だから私自身だけでなく、関わる人の感情も大事に扱いたいと考えています。
人が、自己を深く理解し、自己価値を受け容れ、自己を愛せることができるその先には、人間同士が互いを理解し、互いの価値を認め、愛し合える、そんな穏やかな世界があると思います。そのために人間の探求を続け、それを表現していきたいと考えています。
佐々木ちひろ
インタビューを受けた方
佐々木ちひろ
プロフィールの詳細は追加予定です。