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高野 愛 さん

互いを活かしあうチームづくりを通じて、子どもたちが生きることを楽しめる「社会」をつくる

昔は政策科学から環境問題に取り組み、世界を良くしたいと考えていたという高野さん。今は「人を支援する」ことをミッションとし互いを活かしあう共創的チームづくりを実現するプロジェクトに取り組んでいる。ただし、その根っこの思いはまったく変わっていない。高野さんは、それを実現するために、今、ストレングスファインダーとNVCをツールとして使っているという。高野さんがこれまでにわかった、互いを活かしあうチームづくりのために大切なこととは何だろうか?
今のお仕事をするまでのことを教えてください。
私は、大学を出てからずっと、社会の未来を創る人を育むNPOで働いています。社会課題の解決に挑む若者支援や起業支援をしたり、「実践型インターンシップ」で学生と企業をマッチングしたりしています。インターンシップ・コーディネートの草分け的な存在でもあり、私が入った当時は創業間もない楽天さんやDeNAさんにインターンをコーディネートしていました。
 実は、大学卒業後の就職先としては別の企業に内定していたのですが、他の内定者に比べて社会経験が少ない自分はイケテナイと思い、それで今自分がいるNPOでインターンをしたのです。そうしたら、「自ら社会の未来を創る」というビジョンに惹かれ、結局、3月の土壇場で内定している企業を蹴って、そのNPOに就職しました。
大学生の頃から環境問題に興味があって、政策科学から環境問題に取り組みたいと思っていました。でも当時、「ISO14000」(国際標準化機構が発行した環境マネジメントシステムに関する国際規格群の総称)の認定取得数の世界1位が、環境先進国といわれていたドイツを抜いて日本である理由を知って、考えが変わりました。なぜ日本が1位か知りたくて、取得支援を行っている人に話を聞きに行ったところ、「実は日本は接待して取得している部分もあるかも」ということを聞き、「えーー!」と思ったわけです。この規格は「持続可能な開発」実現に向けた手法の1つで、規格取得団体はPDCAサイクルにより継続的に環境対策を改善する団体の証でした。当時の私は「この規格取得団体が増えれば、環境問題は解決できる」と単純に思っていたこともあって「結局、国際規格をつくっても、当事者意識を持って社会を良くしようとする“人”が不在なら、ルールは形骸化され本質的な課題解決はできないのでは?」と考え、政策から「人」に関心を持つようになりました。
社会人になって、いまのNPOで働くようになってから環境問題については、自分がやるよりも、そういう事をやりたいリーダー的な学生たちの支援をしたほうが早いぞ、と思うようになったんですね。実際、学生がNPOを立ち上げて大きくしていくのを間近で見てきました。インターンの受け入れ先としてベンチャー企業の経営者とのつながりも多かったのですが、そうした経営者さんたちが資金を提供したり、学生たちに組織の立ち上げ方なんかを教えてくれるんです。「私はこんな社会を創りたい、変えたい!」という情熱から行動しつづけると共感する人が集まり、自律的なチームが組成されていく。そんなことたくさん見てきたので、一人ひとりの持っているパワーってすごいと思っているし、それを心底信じられるんです。
ストレングスファインダーのコーチの資格をとったのはなぜですか?
子どもの言葉がきっかけかもしれないですね。ストレングスファインダーを初めて受けたのは2009年でした。その時はTop5に出てきた「自我」という資質の説明を読んでも、どうしても受け入れられなかったんです。「自我のアルアル」の話ですが、それでもう1回受け直したんですが、結局「自我」は上にあって(笑)、「もう見るのをやめよう」って思っていたんです。ところが、その後、2011年に生まれた長女が3歳になった頃、お友達に向かって「そんなことしている場合じゃない」と言い放つ姿を見て、ハッとしたんです。「親(私)の無意識が、子どもに影響している!」。その言葉は、あと5分で保育園に向かわなくてはならない時に、まだ裸でテレビを見ている長女に、私がよく言っていた言葉でした。
そんな頃にちょうどストレングス・ラボができたのを知り、基礎コースを受けました。資質も34位まですべて出して、6位以下もわかったことで、以前は受け入れられなかった「自我」もその他の資質との掛け合わせでどう動いているかがわかり、肚落ちすることができたんです。また、職場では2014年から人事担当として、メンバーが楽しくご機嫌に成果を出しながら働く環境づくりを目指していたのですが、もともと一人ひとりの違いがよくわかってしまう傾向性がトップの私としては、「楽しくご機嫌に成果を出す」と言ったって、何を楽しいと思うかは一人ひとり違うし、全員の個性が豊かすぎて困ったな、と思っていたんです。そこで、ストレングスファインダーを使えば互いの個性を活かしあえるかなと思い、しっかり学ぼうと思ってギャラップのコースに行きました。
ストレングスファインダーを使うようになって何が変わりましたか?
職場では自分が楽になりました。それまではみんなから「あの人からはメールがすぐに返ってこない」「プロジェクトは3つくらい同時に回してほしいね」なんていう、自分が当たり前にできることを、相手が同じレベルで出来ないことに対する嘆きを聞いても、「そうだね〜……」という感じで受け流すしかなかったんですが、ストレングスファインダーがわかってからは、「あなたは自然に##なアプローチができるけれど、あの人は**なアプローチをしているんだよ」などと理由付けができるようになり、みんなが互いの違いを肯定的に受け止められるように促すことができるようになって、自分が抱えていたモヤモヤが収まりました。
今、取り組んでいることはどんなことですか?
互いを活かしあう共創的チームづくりに挑戦しています。私の場合は職場の内と外の区別がほとんどありません。外の組織に対してそうしたお手伝いもしつつ、自分のいる組織でもそれを実現させたいと思っています。
先ほども話したように、私は一人ひとりの人が持つパワーの凄さを実感しています。だけどみんなやり方が違います。将来ビジョンを語り多くの人を巻き込む人、少数精鋭でやる人、寝ない人(笑)……いろんな人がいます。そのやり方がちょっと違ったり噛み合わなかったりするだけで、「一緒にできない」となってしまうのは悲しいと思うんです。私の職場でも、大きな企業からわざわざ志を持って転職してきてくれたのに、やり方”How”が違うことで、すれ違って辞めてしまう人もいました。すごく残念で悲しいです。同じように社会を良くしたいと思っている人たち同士が、互いの個性を活かしあえないことは、すごいエネルギーロスだし、そのロスがなければもっと早く社会は良くなるのに、と思うのです。そんなとき、ストレングスファインダーを使うと、その人のやり方 ”How” の違いがわかるし、当たり前が違うことがわかるようになります。そして互いの不得意や弱さを見せ合え、互いを尊重しながら個々の ”How” を活かしあえるチームづくりの支援できると思っています。今夏から、ストレングスファインダーをチームづくりに活かす講座を立ち上げ、職場内外向けに開催しています。
今後、やっていきたいことはどんなことですか?
自分の人生を使って「社会をより良く変えたい」という想いの実現をお手伝いしたいと思っています。方向性はなんであれ、自分が生きている社会や世界に対して「こういうことをやりたい!」という情熱の具現化をしていきたいです。たとえば、「世界平和って大事だよね」みたいに言う人は、一般的には「意識高い系」と言われたりすると思うんですが、そういう大きな目線って、私からするとごく当たり前だと思うんです。もちろん、目の前の家族だったり生活のことだったりはとても大事です。でも大きな目線で社会が変わると、そうした身近な日々の問題も解決していくと思うのです。
 だから、介護でも教育でも環境でもテーマは何でもいい、何か一つでも「変えたい」と思う人を、自分の人生を使って支援していきたいと思っています。
私はストレングスファインダーとともにNVC (Nonviolent Communication)も自分の人生を豊かにしてくれるお気に入りのツールです。NVCは、臨床心理学者のマーシャル・B・ローゼンバーグ博士によって体系付けられたコミュニケーションの方法で、頭で判断や分析をするかわりに、自分と相手の心の声に耳を傾け、感情や大切にしていること(ニーズ)を明確にしていこうというものです。たとえば、自分の行動をストレングスファインダーでみた時に「◯◯資質だからそうなるのは仕方ないから諦めよう」と否定的に捉えるのは悲しいと思うのです。それぞれの資質は中立で、使い方によっては残念ことにもなるわけですが、NVCを使って紐解けば、そこにはその人が大事にしたいこと(ニーズ)があります。たとえば、物事の足りないところや欠けている部分をすぐに見ちゃう傾向性があるとしても、それはその物事を「成功させたい、貢献したい」という願いから、心配してそこに目がいくのだと思うのです。他者からすると「細かいこと言いやがって」となるかもしれないけれど、その裏には大事にしたいこと(ニーズ)がある。だから、残念な資質の使い方をしても、すぐにそれを否定するのでなく、NVCも使って自分も他者も肯定的に受け止めるようにシフトできたらいいな、と思います。
そうやって、一人ひとりの人が「自分らしさ」を活かし合えるチームづくりを実現させたいです。私は所属しているNPOで「社会をより良く変えたい」と情熱を持って活動している人やチームをたくさん見てきました。社会を良くするという大きなビジョン・意義を優先させるあまり、時に自己犠牲的に働きすぎてしまって、身体を壊したり、自分らしく働き生きることを見失ってしまう場面(自分の実体験も含めて)も過去ありました。そんな経験をしたからこそ「一人ひとりの人が自分らしく生きながら『社会をより良く変える』こと」の実現を、チームづくりによって支援したいです。
社会ではダイバーシティ&インクルージョンが注目されていますが、多様性に翻弄されるのではなく、多様だからこそ「あなたがいてくれて良かった」と、互いの個性を活かしあえるチームが、必要とされていると感じています。そんなチームによって、より良い社会をつくっていきたいです。自分らしく働きながら、社会を変えている人やチームが増えれば「生きるって大変だけど、楽しいね!」と思える世の中になると思うし、そんな世界を自分の子どもをはじめ多くの子どもたちに遺したいと思います。
でも何が「楽しい」のかは人それぞれで、それは自分で見つけるしかないと思います。だから、私はまず、自分がそれを体現したいと思います。そうやって考えて、いまの自分がたどり着いたのが、一人ひとりの人が自分らしく生きながら、社会をより良く変えていくことを、チームづくりによって支援することです。それが自分の魂とつながった自分の表現方法だし、いまの自分にとって楽しいことだと思うのです。
ストレングスファインダーはどう活かせばいいですか?
私にとってストレングスファインダーは「自分のあり方(Being)を教えてくれる新しい鏡」でしょうか。それを見ていると「こだわりすぎてる」とか、その問題に首をつっこもうとしている瞬間に、「それ、大丈夫? あなたの首をしめるパターンだよね?」と教えてくれる、気づかせてくれるものですね。私は当初、自分の「自我」が出た時にガッカリしました。私には「自我」なんてないって思いました。でも、自分のそうした資質のことがわかってくると自分を理解でき、自分を愛し始められることがわかりました。だから、自分の資質を受け入れることがすぐには難しい場合は、無理はしなくていいけれど、少しずつ向き合えばいいかな、と思います。いつかしっかり向き合う時がきたら、自分に共感してあげて、その資質を使ってほしいと思います。そうすると自分自身を最大限に活かせるようになってきます。
以前、山で修行体験した人に聞いたことがあるんですが、「1回くらい滝に打たれても自分のことなんかわからないよ」と言っていました。覚悟を決めて、自分で自分を覗いて行かないと、自分のことは見えないかもしれません。「自分を掘っている深さまでしか他者のことは支援できない」という言葉も頂いたことがあります。だから特に他者を支援しようという人は、覚悟を決めて自分の内面を掘っていく必要があるかもしれないですね。そういう時に、ストレングスファインダーは役立つツールだと思います。
高野愛
インタビューを受けた方
高野愛
プロフィールの詳細は追加予定です。